SSブログ

丹沢横断トレイルラン [トレイルラン]

丹沢トレイルランも今回で三回目
ルートは若干違いますが、山々を越えて長く走るスタイルは同じです。
元はといえば、”ファイト!一発!”でおなじみのヒデ兄貴からもらった一冊の本。
80年代の本ですが、その当時まだ日本ではトレイルランなる言葉やそんな遊びをしている人もいなかった時代、著者は通常連泊の登山の縦走ルートを無宿泊で行ってしまう。
当然、コースタイム短縮のために走る。
走るために装備も軽くしたり、山で泊まらないために現地までのアプローチなど工夫したりと読んでいて面白い。著者のちょっと変わった世界観も本を面白くしている。

ちょうどトレイルランをトレーニングとして取り入れたころだったので読んでいて共感できた。
オフの仕上げに大きなトレイルランをやってみようというきっかけを作ってくれた。

そして今回もその楽しさと厳しさを教えてくれた丹沢山塊を横断してみることに。

ファイト!一発!

■プロローグ
去年は途中で断念してしまった横断、今年はやり残した宿題を完成させるという思いで出望んでみた。
”諦めない”のが信条ですからね。
去年のブログ。http://bee-gogo.blog.so-net.ne.jp/2010-12-20

年々、オフのトレーニングの初期からに負荷を大きくしているので数年前とは比べ物にならないぐらい早い段階でもトレイルの走破力がついてきているぞ。
今年もUGOの忘年会が行われる道志村を目指して走ることに。一泊できる機会があるから出来る挑戦です。

■ルート

Tanzawa20111217.jpg
クリックするとデータも出ます。(スタートからゴールまで休憩中も測定)

ルートは去年ほぼ同じだが、西のルートを変更することにした。
大倉~塔ノ岳~丹沢山~蛭ヶ岳~姫次~神ノ川~犬越路~大室山~加入道山~白石峠~道志。
当初は大界木山まで伸ばし、宿泊先の宿の裏に降りるつもりでしたが、道が怪しいので短縮。
いくら丹沢といっても単独行動では無理は危険。丹沢では死亡事故も多く、特に厳冬期は危ないね。
また、蛭が岳から姫次にすれば、そこから先何かあれば道志方面に下山するルートも多いので無理な場合の計画の変更が可能。時間との追っかっけこだと楽しくないし、危険です。

■大倉~蛭ヶ岳
前夜遅くまでの仕事で当日は当然のごとく寝坊。
起きたら行けばいいと思って、ルートも蛭ヶ岳から先はいくらでもつめられるので余裕を持って家を出た。
渋沢駅からバスで大倉まで。
大倉スタート7時55分、通称”ばか尾根”を登る。
いつもより時間がおそかったので、多くのハイカーが尾根を上がっていく、しかし山ガールなる人たちが多い。
それと年金生活者らしき年代、元気ですね。

休憩無しで山頂についたら1時間17分。あれ、ここにトレイルランで登るの三回目だけど、今まで一番早かった。頂上は風もなく、富士山が真っ青な背景の中に綺麗に見える。風はそれほどなくても気温はマイナスなので軽く腹に食い物つめてすぐにスタート。
トレイルランの唯一の難点は山頂でゆっくり楽しめないということ。あったかいジャケットやコーヒーを淹れる道具など持っていけない。
止まったら体が冷えちゃうので常に走って発熱していないといけないのも山で走るランナーの宿命、マグロみたいだけどね。

FUJI.jpg
山頂から見る景色は絶景。でも山頂は寒い。マイナス気温、緑のブログの温度マニアさんはここで練習すればいいのに。

FUJI2.jpg
塔ノ岳~丹沢山~蛭ヶ岳までは走っていて一番楽しい。

MI2.jpg
うれしい俺、バックは富士山と丹沢の深い渓。

富士山をほぼ見ながら、奥深い丹沢山塊を一望し、東に広がる関東平野は筑波山まで見渡せる。
尾根の上から眺める世界は普段感じている距離の感覚をいい意味で麻痺させてくれるのか、自分がどこまでも走れる気がする。

富士山に向かって走る。

MIYAGAE3.jpg
東に宮ヶ瀬ダム。

途中鎖場があるがそれも山を走るアクセント。
慎重に下りながら、一歩間違ったら死んでしまう緊張感っていうのも楽しいもんだ。本当に死んだらやだけど、こういうスリルって普段、私の生活では味わえないこと。男って好きなんですよね。

後ろを振り返ると自分の来た道と海が鏡のように光る光景が目に入る。

日差しが暖かくて南側の斜面は霜が溶けてグチャグチャになり始めてきた。笹の続く尾根を登れば蛭ヶ岳はすぐそこだ。

FUJI 4.jpg
スリップに気をつけて笹の尾根を走る。

10時47分蛭ヶ岳到着、風も少なくここでちょっと早い昼飯、スティックパンと魚肉ソーセージを食べる。
山の上ではちょっとしたものでもご馳走になるので贅沢な食事は要りません。疲れた体と絶景があればそれが美味しくしてくれる。

■蛭ヶ岳~神ノ川
蛭ヶ岳から北斜面に降りると残雪がある。階段は整備されているが、斜面が急なので気をつけないと。
今回、ガチガチの路面が予想されたので、一応軽アイゼンを持ってきていたので、危なくなったら履くつもり。
トレイルランは最小限の荷物だけど、必要なものははやり持って行かないとね。
ちなみに、ライトと雨具も持ってきている。重くなって嫌だけど、何かあったときのことを考えるとね。

HIME5.jpg
ガチガチに凍った雪、慎重に下る。

急勾配を抜けると姫次までは気持ちのいいコース。
場所によって雪があったり、暖かい陽だまりがあったりと変化に富んで楽しい。
姫次を西に折れ、下り基調で風巻まで走る。

HIME.jpg
雪の中のトレイルランも楽しい。

12時25分、ここで携帯を見ると電波が入るようなので、ひで兄貴に電話して、所在とこれから先のコースを知らせておくことにした。

このままで行けば犬越路には確実にいける。後は道の状態と自分の体力の問題。
すでに4時間半走っているので、それなりに脚にきている。

ここからがこのコースの一番キツイ区間が始まる。
たった2キロぐらいの距離で標高500m下りることになる。
下りで使った脚は後からガクガクにきます。

丹沢も蛭ヶ岳をから西は寂しくなります。
面白みも少ないキツイだけの下りのコース。
だんだんと川の音が聞こえ、木々の間から川が視界に入る。

KANNO.jpg
神ノ川到着。

■神ノ川~道志村
神ノ川まで来てまだ時間に余裕があるので、大室山まで行き、状況を見て下るか先に行くか判断することにした。
苦行の下りが終わり、犬越路までのの登りの修行が始まります。ここから2.5kの距離を標高600mを登るコースは丹沢でもM度が一番高いコースなのかもしれない。
9月の台風の影響でガレ場がガレガレの状態で落石の恐れあり、ここは気持ちを引き締めて挑むべし。

今回のルートは落ち葉のフカフカの路面やガチガチの雪面、大きな岩場や細かなガレガレと場所によってぜんぜん違うのでも楽しめる。
でも、見上げると今にも崩れてきそうな斜面は勘弁して欲しいと思いながら、足早に切り抜けたい。

INUGOE.jpg
こんな感じの路面が続く。

斜面の角度に体も同じようになりながらランのつもりで脚を繰り出すが、どうみても歩く速度より遅い。
それでも休まず尾根の切れ目を目指して体よ進め。

犬越路に14時5分到着。

休憩していたハイカーの方としばしのお話。
旅に出ると必ず何か頂けるという乞食の相を持った私は、キャラメルや水などを頂く。
けして下さいと言ったわけではないのですが、心の中で欲しいものが手に入った。(笑)
水は下山するだけなので要らないとペットボトルでもらったので、持ち物を軽くしてあげる人助けが出来た。(笑)
これから大室山に行くと言ったら、驚かれたが、それより今まで来たルートを答えたらもっと驚かれた。
通常は1泊2日の日程ですから驚いて当然ですね。

距離からすれば1時間はかからないので、大室山まで一気に攻めます。

大室山の分岐点に15時到着。まだ陽はあるのでここで道志村に下りるか、その先の白石峠ちかくから道志村へ降りる道まで行くか検討してみる。

MAP8.jpg
地図を広げて見る地形を確認。

OMURO.jpg
下り基調で約2.5k、これなら16時前に下山口に到着でき、明るいうちに下り始められるという判断で全速前進。
まだ脚は元気なので楽しく走れる。

白石峠手前で道志に降りる道があったが、地図と違うのでその先の白石峠まで行って確かめることに。
地図にずれがあり、手前の道がどうやら道志に下る道のようだ。

下ってすぐにごっそり斜面が削られている。慎重に両手を付きながら恐る恐るかにのように進むが、今回一番のピンチ。下を見ないように斜面が落ちないことを祈りながらピンチを切り抜ける。

後はだらだらと下るだけだ。
ここに来てかなり脚がつらくなってきた。
やっぱり下りは好きじゃない。それに杉林の中はどうも楽しくない。
お日様もだいぶ傾き、富士山に裏に隠れるようにして沈んでいった。

登山道にも人工物が増え、終わりが近いことが分かってくるが、ここで気を抜いてつまらぬ怪我をしたくないものだ。念のためにまだ視界があるけど、ライトを頭につける。
なんだかテレビで見るヨーロッパのアドベンチャーレースの選手のようだ。

ME.jpg
気分は”アドベンチャーマン”

登山道が終わってコンクリートの道に出るころにはすっかり真っ暗になっていた。
後ろを振り返り、走った達成感を感じ誰に見せるわけでもないガッツポーズをして”やったー!”。

過ぎ去れば夢の如し、また一つ自分のいい思い出が出来た。

残りは宿までの4kmの道、国道に出て走る。
途中宿へ向かうゴジオジさんとひで兄貴の乗る車に、”乗っていく?”と声を掛けられ、”はい”と返事をしたが、残り距離も少ないし、乗ったらせっかくの現地まで自走の目的に汚れが付きそうなので、すぐに断った。

CAR.jpg
”残り3.3km”と言って立ち去っていった。

暗いなか道志の道の駅を越えるとすぐ宿がある。
宿までの一本道、ライト照らしてのでUGOの面々が気づいて窓から”おかえりー”と声を掛けてくれた。

MIZUNMOTO.jpg
無事到着、師匠ともとこネーサンが迎えてくれた。
楽しかった大きなトレイルランはまた次の計画を作るのにいい経験になりました。


そして、UGO忘年会へと続くのであった。

データ
距離37.46km、時間9時間58分47秒(停止時間も含む)、累計標高:登り3816m、下り3397m。
nice!(1)  コメント(3)  トラックバック(0) 

nice! 1

コメント 3

UC

ご無沙汰してます。

渋沢から山を越えて道志に抜けることができるんですね。それも一日で・・・・
本当に凄いです!感動してしまいました。
by UC (2011-12-19 21:37) 

MASA

たぶん同日に実家近くの展望塔から丹沢の山々を見ていましたが、あの中を縦走されていたんですね。
犬越路のガレ場写真を見るとキタタン(北丹沢12時間山岳耐久レース)の苦しさが蘇えってきます。


by MASA (2011-12-20 21:46) 

Bee

UCくん、
おっ、久しぶりです。
元気ですか?
元気な体と空っぽの頭があれば丹沢なんて簡単に越えられるよ。(笑)
機会があったら是非ご一緒に。俺と違って頭詰まっているから難しいかな?(笑)

MASAさん、
あのレースに出たんですか?凄いですね。コース見ただけで筋肉痛になりそうです。

神ノ川~犬越路のガレ場は台風の影響でかなり危ない感じでした。途中道もすっぽりなくなっているところもあり、覚悟を決めて行った所もありました。
by Bee (2011-12-22 13:29) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。